いた、いる、居るかも。/ミュージックビデオに寄せて

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https://youtu.be/fNdrwKdV3gU

 

即興音日記#159「いたいるいるかも」/daily improvised music#159 "she was, she is and she may be here"

159曲目。これまでの即興音日記と同じように、録音前に、ギターで弾くコード、旋律、コード進行を決めた。曲のタイトルを紙に書き留めた。そして今回も、曲の始めから終わりまで一度も歌うことなく録音を開始。旋律もコード進行も、すべて暫定的なもの。変わり得るもの。すべては音楽の素材に過ぎない。

曲を完成させないまま、この場で、この瞬間の音楽をつくる。ギターで最初の音を出す。それを聴いて/聴きながら、次の音を出す。その行為に集中するのみ。弾き歌いながら、戸惑ってもいいし、迷ってもいいし、彷徨ってもいい。即興音日記はいつも余白だらけ、隙間だらけ、スキだらけ。

1秒後の自分が何をするのか自分にも分からない。私はそれを、とても人間らしいことだと思う。私が音楽に感じる最大の魅力は、この揺らぎ、この不確かさ、この分からなさにある。

今回は、一度きりの即興の音源に即興で応答し、音を重ねた。自分の即興に、何度も即興で応答する。

作曲の途上で、この音楽をある方に捧げることに決めた。そう決めたことで曲のベクトルが定まった。此方ではもう会えない方に捧げるのは即興音日記156「いま照らされるひと」に続き2曲目。とても悲しく淋しいが、前に進まなければ。