「さがす」"we will look for" / おとのしみ会@カフェドジェーム 2022/09/03録音
わたしたちは、いままで生きてきた。いま生きている。これからも生きていく。
そこにある不安、受容、確信、勇気、挑戦、喜び。3人それぞれの人生について話した。 そのあと、おもむろに即興表現をはじめた。
先にテーマだけ決めておこう。「さがす」にしよう。わたしたちは、これからどうやって生きていくか、その道を、その場所を、探しながら暮らしているから。
二度と同じ演奏はできない。あとにも先にも、世界にひとつしかない演奏。 わたしは思いがけない外部に出会うことができた。 かけがえのない時間、かけがえのない感覚を、この演奏の中に聴くことができる。 16分41秒。
本当にありがとうございました。
2022年9月3日 おとのしみ会代表
藤崎博和
全員参加完全即興みんなのおと「鱗雲|街頭演説|アッサンブラージュ|振り子時計|祈る|結露」2022/7/9録音
2022年7月9日午後の、47分21秒。
この日のおとのしみ会はフジサキヒロカズとマツイケダイスケ以外は初参加の方々だった。
ただしお話を伺うと、音楽については、聴取にせよ演奏にせよ長く深く関わってきた方々だったので即興表現のためのウォーミングアップは省いて、いきなり「全員参加完全即興 みんなのおと」をやってみることにした。
いま気になる言葉を全員に挙げてもらい、それをこの日の即興表現のお題とした。
出てきた言葉は「鱗雲、街頭演説、アッサンブラ―ジュ、振り子時計、祈る、結露」の6つ。
これらのお題以外、一切の打ち合わせ・取り決めをせずに、何気なく、静かに即興表現を始めていった。
6つのお題に牽引された音、その音に牽引された言葉、言葉に牽引された別の言葉。音、声、旋律、言葉が影響を与え合いながら、皆でこの47分間を過ごした。毎回同じことを書くが、おとのしみ会は観賞用の音楽をまったく指向していない。果たして、私はこの日も思いがけない外部に出会った。この時のこの6人でしか表わし得ない、同じものは二度とできない、本当にかけがえのない表現だった。
終演後の僅かの沈黙のあと、参加してくださった方々が、誰からともなく感想を述べ始めた。言葉の中には、喜び、解放、お互いへの賞賛の感情などが活き活きと息づいていた。その時に聞くことができた言葉ほど、おとのしみ会で私が望んでいることを言い表してくださったものはなかった。おとのしみ会の価値が私以外の方によって言語化されたことが心から嬉しかった。
これらの喜び、解放、互いの賞賛の感情の往還を、私はこの録音の中に聴き取ることができる。
「海中の蝶々 remix」ミュージックビデオに寄せて
2022年8月の猛暑の中、2020年8月25日に録音した「海中の蝶々」のミュージックビデオをPCの中で見つけた。2020年12月にYouTubeに既にアップしてあるヴァージョンは音が耳に痛い。当時の録音技術が今よりも未熟であったのは仕方がない。2年経った今なら、この曲をもう少し良い音で残してやれると思った。
そこで、曲の骨格はそのままで、編曲と録音を少しだけやり直し、再度ミックスダウンした。
曲の背景で鳴き続けている蝉の声はそのまま。Pexelsの素材画像だけで制作したミュージックビデオも、僅かに編集を加えただけ。自分の曲をおさらいして、今の私が応答した。
■「海中の蝶々」歌詞
試したい 泳ぎたい 透き通る海
わたしの この羽 動かせるのか
沈んでも構わない 溺れてもいい
やらないよりはいい
誰にも知られない試み
この羽 この羽 動かせるのか
構わない 溺れてもいい
やらないよりはいい いい
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全員参加完全即興「ザンブロンゾ」ミュージックビデオに寄せて
53分05秒。
これは鑑賞のための音楽作品ではない。
表現のための表現。それ以外に目的はない。
おとのしみ会における私の願いは「思いもよらない外部に出会うこと」。
そのためのフォーマットが、参加者全員による即興表現。
私はこの53分間を大いに楽しんだ。
この日参加してくださった方々、そしてこの活動を理解してくださっているカフェドジェームマスターには感謝しかない。
2022年7月21日
おとのしみ会 代表 フジサキヒロカズ
「さんてんどめ」ミュージックビデオに寄せて
6月27日の月曜日。朝食前に鉄弦ギターを弾くと曲の断片が現われた。朝食後に再びギターを持つと曲の断片が更に増えた。曲の全体像が見え始めた。
朝のゴミ出しのために外に出た。玄関先の植え込みに蜘蛛の巣を見つけた。張り巡らされた蜘蛛の糸が陽光に反射して美しかった。歌詞の着想はそこから。蜘蛛の巣を観察してから家に戻り、場所を変えて三たびギターを持った。カポタストを嵌めてキーを変えて歌うと別の世界が見えた。別世界が見えたこのキーに定めて歌うと、途端にメロディーが固まった。カポタストの魔法。曲の骨となるメロディーは録音前に書きあげた。事前にメロディーを作曲したのは数カ月ぶり。作曲は新鮮だった。
■「さんてんどめ」歌詞
さんてんどめ 三点留めが
最低条件 私の住む場所
ゆらゆら ひそひそひそ ゆ
ひそひそ ゆらゆらゆら ひ
平べったくない 立体でもない
落ちないように ゆっくり 素早く
ゆらゆら ひそひそ ゆ
さんてんどめ
即興音日記#163「ひたすらおちる」ミュージックビデオに寄せて
https://youtu.be/SV9fzd9XqoI
6月18日土曜日の午後。濃い色の曇天。即興作曲を牽引してくれそうな素材を探そうとギターを弾いていた。すると突然激しい雨が降ってきた。窓を開けていたのでギターの音が雨にかき消されてしまうほど。その中で弾いているうちに、この曲で使う言葉を、雨と落ちる、この二つに決めた。
163曲目の即興音日記。いつも通り、メロディーも詞も曲構成もすべて即興。その場で作曲しながら歌っていく。次どうする?と私の脳が、指とギターに尋ねながら土砂降りの雨音を聞きながら歌っていく。一度だけ録画したあとで聴き返し、すぐに多重録音で自分の即興に即興で応えていった。
即興で歌いながら耳に入ってくる雨の音。あまりの激しさに、土砂降りの雨が生きているように感じた。雨が意思をもって一心不乱に降っているよう。だからタイトルの英訳は"It rains single-mindedly"。こんな英語は無いと思うが、ネイティブに笑われたって別に構いはしない。
叩きつけるような雨音は凄まじかった。雨音のオーケストラとギターと声。暮らしと地続きの音楽。日々の暮らしの中にそれが在るのなら、要らない音はひとつもない。改めてそう感じた。
即興音日記#162「さがしざわざながわら」ミュージックビデオに寄せて
https://youtu.be/C2tJK8uaQF4
5月25日の夕方。帰宅しても仕事は続く。合間に、息抜きをしようとクラシックギターを弾く。
指と弦のファーストタッチ。注意深く丁寧に最初のコードと次のコードを弾いてみる。いくつかの組み合わせを試してみる。いつも、いままでに弾いたことのないコードを弾くこと、繋げたことのないコード同士を繋げること、この二つをできるだけ心掛けている。
今日の、最初の二つのコードが繋がった瞬間、ああこれは音楽になると直感した。コードと鼻歌を少し絡めてみた。これはいける。
さあ整った。いつものように、ここが即興音日記の始まり。この二つが美しく繋がると、弾みで、導かれるようにそのあとの展開が生まれてくることがある。今日はすこぶる滑らかに繋がりが生まれてきた。歌詞も思いつくまま、即興的に60秒ほどで紙に書き留めた。敢えて、歌詞とメロディーを合わせる作業はしない。
162曲目の即興音日記。いつも通り、メロディーと曲構成は私の指と脳の気の向くまま。曲の着地点も決めずにいきなり動画を撮る。演奏はこの一度きり。ギターを弾きながらその場で作曲していく。歌詞を2回繰り返したが、もはや1回目のメロディーは覚えていない。始点から終点へ向けて、ただその瞬間に私が美しいと思った音を繋げていくだけ。これでいいと思ったところでギターを置く。
録った動画を見返して、今回は後追いの即興多重録音は要らないと判断した。
タイトル「さがしざわざながわら」はミュージックビデオを作りながら決めた。言葉遊び。歌詞から「さがしながら」「ざわざわ」の2語を選び、好きな響きになるよう切り貼りした。